ムンクはお好き?2006年03月09日 20時57分02秒

ムンクを追え

ひさびさに良質のノンフィクションを読みました。
「ムンクを追え! ~『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日~」
(エドワード・ドルニック著 河野純治 訳 光文社)
1994年2月ノルウェーで起こった、ムンクの「叫び」の盗難事件、その絵を取り戻すまでのノンフィクションです。
名画「叫び」・・・作者の名前名や絵の題名は知らなくても、絵そのものは誰もが一度は見たことがあるほど有名な作品です。
1994年2月リレハンメル冬季オリンピック開幕式当日、未明にノルウェー国立美術館 よりムンクの「叫び」が盗み出されるという事件が発生。
それを取り戻すための100日のノンフィクションです。

その奪還の中心人物がチャーりー・ヒルというロンドン警視庁美術特捜班のメンバー、この人物が魅力的。
タフで切れもの、そして権力を嫌いながらも美術品捜索に抜群の実績を誇る、まるでミステリー小説の主人公になりそうな囮捜査官。
ヒルを中心に話は動いてきます。
またサイドストーリーで絵画盗難の歴史や背景などを組み合わせていて、章が細分化されているので非常に読みやすく、且つ緻密な構成です。
ヒルが、美術品への愛と演技力、そして直感での捜査はワクワクしながらページをめくらせてくれます。
一方で美術品捜査の難しさを浮き彫りにしています。

この方の翻訳は初めて読みましたが、こなれた訳がとても良かったです。

奪還された「叫び」・・・2004年2月、再び盗難・・・そしてまだ見つかっていない。