今、北森鴻がおもしろい!2007年10月30日 20時23分32秒

北森
推理小説で一番最初に読んだのが江戸川乱歩の「二銭銅貨」。
たしか小学校5年でした。
以来、推理小説をどれだけ読んだことでしょうか。
江戸川乱歩や横溝正史にはじまって鮎川哲也や山口雅也など
本格ミステリー、フォーサイスやアーチャーなど海外ミステリー、
逢坂剛や船戸与一など冒険ミステリーなど一時はミステリー小説
ばかり読んでいた時期もありました。
そして綾辻行人、法月倫太郎などの新世代のトリックのための
トリックのパズルミステリーに飽きてしまいました。
そのせいかミステリーから遠ざかり、最近は宮部みゆきぐらいしか
読んでいませんでした。

北森鴻(きたもり こう)という作家を知ったのは最近のことです。
昨年「京都裏ミステリー 支那そば館の謎」という京都の舞台にした
ミステリー短編集を暇つぶしに買いました。
元怪盗で嵐山にある大悲閣千光寺の寺男となった主人公が、京都市内
で起こる不思議な事件を京都新聞(?)の女性記者と掛け合いで解決
するという内容。
「ばかミス」のたぐいかなと軽い気分で読み始めたのですが話に
よってはトリックに無理があるかなというのもありましたが、
文章の上手い人だなと感心しました。
最近の短編ミステリーの上手い書き手というのは鯨統一郎ぐらい
かなと思っていたので新鮮でした。

何冊かの北森氏の著書を読みましたが一番のお気に入りは
「香菜里屋(かなりや)」シリーズ。
「花の下にて春死なむ」「桜宵」「蛍坂」(いずれも講談社文庫)の3作が
発売されています。いずれも短編集です。
東急田園都市線三軒茶屋駅の繁華街から外れたところにあるビア・バー
香菜里屋のマスター工藤が、店に来る客の謎を解決するという話。
美味い酒と料理で居心地のいい店で客の誰しもが重い悩みなどを
工藤に話してしまうほどの聞き上手。もちろん謎解きは名探偵級。
客同士が謎を解きあうなど、バーなどを舞台にしたミステリー短編
ではよくある設定です。

ストーリーは油絵のように何度も塗り重ねて重層的な構成ですが、
読み終えると透明水彩で描かれたような透き通った優しさを感じます。
それは軽くて薄っぺらなのではなく、都会に住む人の哀しさや寂しさや
思いや切なさを工藤というキャラクターを通じて人が本来持つ優しさで
解決に導くからでしょう。
結末がやりきれない話もありますが、それでも読者に「これも人生ですよね。」
と投げかけてきます。

そして一つ一つのトリックが良くできているのですが謎解きで読ませる
のではなく、登場人物の行動で読ませてくれます。
だから話の最後に「そうか、これはミステリーだったのだ。上手い!」と
気づかせる話もあります。

読んだ誰しもが香菜里屋でビールのみながらマスターの美味い料理を
食べて常連になりたいと思わせるほど魅力的な短編集です。

今、北森鴻が面白い!

コメント

_ ぴよ ― 2007年10月30日 22時34分51秒

へー!へー!へー!
ぴよは自称「ミステリ好き」なんですが、それは成人してからの事で。
だから古いミステリはほとんど読んでないし、読んだ作家数も少ないです。
もちろん北森鴻さんの作品も手に取った事はありませんでした。
今読んでる本が終わったらぴよも読んでみます!

ちなみに今読んでるのは綾辻行人の「暗黒館の殺人」
彼の館シリーズはすっげー好きだったので、ようやく文庫化された本作を
今はジリジリ読んでる所。
しかし・・・本作、原稿用紙2600枚の大作らしい(かなり分厚い文庫本4冊)
相当時間掛かりそうだなぁ~と(^-^;

_ ogawa ― 2007年10月31日 21時59分33秒

>ぴよ姉
私も彩辻の「館」シリーズは好きなんですが、京大ミステリー研の
パズルミステリーには飽きてしまって。
彩辻の奥さまの小野不由美は、私の後輩なんですが、こちらは
ストーリーテラーで好きなんです。

北森鴻の話はどれも面白い・・・いやほんと。
ぴよ姉の感性なら・・・ナルホドど納得してくれると思います。

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