宮嶋さんとNikonF32012年07月14日 15時44分11秒

本日、大阪のニコンサロンで開催されている写真家・宮嶋康彦氏の写真展「東京起源」を見に行ってきました。

宮嶋氏は私が長年尊敬している写真家の一人ですが、写真展に行くのは初めてです。
またご本人も会場にいらっしゃるということで、とても楽しみにしていました。
お昼頃、会場について、先にNikonD300をサービスに預け点検を依頼してニコンサロンへ。
左のスペースに和紙にプラチナプリント技法で焼き付けられた写真が数十点展示されていました。
その受付には宮嶋氏ご自身がいらっしゃいました。
「始めましてogawaと申します。」と挨拶し写真を拝見させていただきました。
和紙のざらっと感触と塗られた乳剤はムラがあり、そこに写し出されたモノトーンの東京、それは印刷では感じることのできない見る人に訴えるものがあります。

東京起源

このフライヤーの写真でさえ、現物の写真とはまったく別物です。
「すごいなー」
壁一枚隔てた隣の展示会場では、グループで鉄道写真展をやっていました。
A3ノビサイズのプリントは普段見慣れた綺麗なプリントです。
ただ、宮嶋氏の写真と比較すると訴える力が弱く感じました。
不思議なものです。

写真を見た後、他にお客さんがいなかったこともありお話することができました。
もう私にとって雲の上の人なので緊張しましたが、とても気さくな方でした。
「和紙にプラチナプリントとは凄いですね。」
「プラチナプリントはやられたことはありますか?」
「いえ、私は銀塩のほうしかやったことがありません。」
「和紙も自分で漉いたのですよ。」
「えっ、宮嶋さんがですか?」
「そうです材料になる植物も育てています。」
「コウゾですか・・・」
「ミツマタもです。自宅で栽培しています」
う~ん、これは恐れいりました。

そして私は宮嶋氏についてのエピソードを話をしました。
「かなり前のことですが、NikonF3についての宮嶋さんが書いていらっしゃったエッセイを覚えています。それは、清流で水草がとても美しく、それを撮りたいためにF3をそのまま水に沈めて撮影したという話です。そのことが私はとても強く印象に残っています。」
「それはたしか10数年前に書きました。」
「たしかF3を特集したムックだったと記憶しているのですが。」
「いや、アサヒカメラでした。」
「思い出しました、たしかF3が生産終了になる時の特集でした。」
たしか1998年か1999年頃である。
「あれ、1枚撮ったらF3おシャカになってしまったでしょう。」
「そうです。でもバッチリ撮れましたよ。その時の別の一枚は会場の一番隅に展示しています。」
「そうなんですか。」
私は慌ててその写真を見に行きました。


戻ってきて「あれですか?」
「あれはちゃんとニコノス(水中カメラ)で撮った分です。私はF3を生産終了したらニコンは使わないと言っていたらほんとになってしまいました。F4もF5も使わなかったし、F6は買いましたけど、ウチの学生が使っています。」
「私はF3を近年まで使っていましたが、今はD300です。」
あのエピソードを何年前にどの雑誌に書いたかを覚えているということは、宮嶋氏にとってもとても印象深いことだったのでしょう。

私は宮嶋氏に「私は宮嶋さんの写真を見たいのもありましたが、このエピソードについてもぜひお話したかったです。今日はお会いできてとても嬉しかったです。ありがとうございました。」と言って会場を後にした。

40分後、点検に出していたD300を引き取りに再びニコンサービスへ、カメラは異常なし。宮嶋さんは昼食で会場を離れていらっしゃったので係の方にお願いして「東京起源」の図録を注文しました。
2週間後が楽しみです。

宮嶋康彦写真展「東京起源」2012年7月12日~18日 10:30ー18:30 会場:大阪ニコンサロン ヒルトンプラザウエスト13階ニコンプラザ大阪内