自称「フォトグラファー」2013年08月28日 20時44分33秒

1人で海外を旅していると、地元の人から「どこから来た?」「どこに住んでいる?」「仕事は?」という質問を受けることが頻繁にあります。
おそらく、これを読んでくださっている皆さんの中にも「そうそう!」とうなずく方もいらっしゃると思います。

私の場合、
「どこから来た?ジャパン、コリア、チャイナ?」
「ジャパン!」
「日本の何処に住んでいる?トーキョー、オーサカ?」
「オーサカ!」
「仕事は何をしている」
「フォトグラファー!」(嘘つき)
と答えています。

左肩にごついデジタル一眼を下げて、カメラバッグをたすきがけにして歩いてるため、フォトグラファーを答えるとほとんどの人が納得してくれます。
撮らせてもらった写真を液晶で見せるともう完璧です。

以前、一度だけ、ほんとの仕事を話したことがありました。
その時、その仕事の説明、なぜ1人で旅行しているのか、なぜ家族と一緒じゃないのか、など事細かに聞かれました。
それが面倒なので、フォトグラファーと答えるようにしています。
仕事もしくは休暇で撮影に来ているといえば、それ以上詮索されることはほとんどありません。

さて、今回の南インドの旅では「フォトグラファー」と名乗ったため、面白い経験をしました(苦笑)そのエピソードを記します。

アレッピー
アレッピーのゲストハウスのオーナー

その1
アレッピーのゲストハウスでのこと。
夕方、外に行こうとするとオーナーに呼び止められました。
何事かと思ったら「貴方は日本で何の仕事をしているのか?」と聞いてきました。
いつものように「フォトグラファー」と答えると、「やはりそうか、ちょっと話を聞かせてほしい。時間はありますか?」と言ってきました。
なんかまずかったかなと思いオーナーの部屋へ。
オーナーは私のニコンを見ながら、「日本のプロカメラマンはニコンやキヤノンを使っている人が多いが、ソニーは使わないのか?」と質問してきました。
こんなインドの田舎でなぜニコンとキヤノン、ソニーのカメラについて説明しなければならないのかと、頭を抱えましたが、これも身から出た錆、しかたありません。
「ニコンとキヤノンは古くからの光学メーカーであり、両社とも長年プロカメラマンへのサポートを行っています。そのため多くのカメラマンが両社のカメラを使っています。ソニーのカメラを使っているカメラマンはほとんどいません。」
「でもソニーは有名企業じゃないか。それにテレビカメラは有名じゃないか」
(なんで、そんなこと知っているんだ???)
「ソニーのテレビカメラ事業は長年手がけていますが、スチールカメラ事業は、ミノルタというメーカーの技術を取得して参入してきたので近年のことなんです。」
「じゃあ、将来、ソニーのカメラを使うプロのカメラマンが出てくる可能性あるのか?」「いないことはないと思いますが、ニコンやキヤノンへの信頼は飛びぬけていますので難しいかと思います。私もニコンを使い続けます。」
「なるほど。じゃあ、パナソニックはどうだ!」
(何なのだ、このオーナーは?)
結局、1時間近く日本のカメラ産業について説明するはめになってしまいました。私の英語力では充分説明できたとは思いません。ともかく疲れました。

造花
レストランのマネージャー

その2
コーチンのレストランにて
コーチンで泊まっていたホテルの併設レストランに夕食を食べに行った時のことです。
(インドのレストランはアルコール類を出さない店が多いので、夕食はホテル併設レストランに行くことが多い)
例によってD300をテーブルに置いて、料理を注文していると、レストランのフロア・マネージャーと思われる人物が話しかけてきました。
例の質問パターンで「ジャパン」「オーサカ」「フォトグラファー」と答えると、私のカメラを見て、「やはりそうか。私も写真に大変興味を持っている。貴方はどんな写真を撮るのか見せてもらえないか。」と言ってきた。
(お~い、料理とビールの注文はどうなるんだ)
私はD300の液晶を見せて、その日撮った写真を見せました。
マネージャーは「グッド」などと言いながら写真を見ています。
「さすがだ!じゃあ、これを撮ってほしい」と一輪挿しの造花をテーブルに置きました。
お~い、勘弁してください。
明るいレンズをつけていたので、ホワイトバランスを調整し、絞り開放で背景をボカして撮影。これを見せると「う~ん、すばらしい」と一言。


コーチン


子供だましのようだけど、デジタル一眼でないと簡単に撮れない手法です。
そして「そのカメラの値段は」と聞いてきた。
「2,000USドル」
「それは高い!いいカメラのようだ!」と言って、やっと注文を受け付けてくれた。
そして翌日、再び夕食のためこのレストランに行くと、件のマネージャーが、今日撮った写真を見たいということで、再び、注文まで時間がかかりましたとさ(苦笑)


コーチン
カタカリ舞踊のダンサー

その3
コーチンのカタカリ・ダンスの会場にて。
カタカリ・ダンスの会場にて、なんと観客は私1人でした。
役者のメイクが終わり、私に話しかけてきました。
「ジャパン」「オーサカ」「フォトグラファー」といつものように答えると。
「日本での仕事もそうか」と聞いてきました。
「はい」と答えると、「私は信じない」と言ってきました。
「なぜ?」
「もし貴方がカメラマンであるのなら、事前に取材の申請をしてくるはずだ。」
なるほど、そういうことですか。
「私は今回は休暇で来ています。カタカリ・ダンスは取材できたのではなく、私が見たいから来ました」と答えると納得してくれました。

写真を撮ることは、地元の人とのコミュニケーションには良い手段ですが、一方、トラブルを招きやすいのも事実です。
某国で軍人を撮影して銃口を向けられたこともありましたし、公安に拘束されたこともありました。
もちろん、どの国でもVISAの申請、入国カードの職業では本来のOffice Workerと記入しています。(当然です)
自称「フォトグラファー」は地元の人たちとのコミュニケーションの時だけ使用するのが良さそうです。

コメント

_ ヒョウちゃん ― 2013年08月28日 23時50分18秒

んー、Pentaxじゃ、無理があるかも。
645Digitalとか持ってたら別だろうけど。
インド体験、さらに期待してます。

_ K ― 2013年08月29日 03時17分40秒

特にインドはどこに行っても「オシエテ」君だらけです。興味関心は素晴らしいことですが、正直、鬱陶しいことも多々。色々な点で「自分が世界の中心(=というか相手をまったーく慮らない)」ことが多いですが、質問の連弾もそれに基づいている気がします。旅行だとそれも含めて楽しい(ときもある)ですが、住んで仕事していると、「いかに交わすか」というのも重要なスキルになってきます。しんどいわー。それはそれとしてカタカリは僕もまだ。是非見てみたい一つです。うらやまし。

_ ogawa ― 2013年08月29日 21時45分01秒

>ヒョウちゃん
すみません、Pentaxの話はでてきませんでした。
インド旅行記、これから順にアップしていきますので、また覗きにきてください!

>Kさん
もうインド赴任して2年ですね。
旅行者だから気が楽ですけど、仕事をする身となれば大変ですね。
一旅行者でも相手するのがめんどくさい人が多いですし。
カタカリは良かったですよ、インド滞在中、機会があればぜひ見に行ってください!

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