加太駅の物語2013年02月13日 16時24分08秒

今日、「この前休んだのはいつだったか?」と記憶をたどるほど久しぶりの休み。

1月末に納車になったインプレッサもなかなか乗る機会がなく、カーナビを初めて使うので行ったことの無い土地が良いなと思い三重の関宿に行くことにした。
東海道の宿場町で町並みがよく保存されていて、近年、多くの観光客を集めている土地である。
ただ、鉄道でいくと時間がかかりすぎるので、足を向けることはなかった。
自宅から約100km、約1時間30分で関宿に到着。

新名神を走行中も吹雪いていたが、やはり関宿も吹雪。
道の宿に車を止めて、町並み保存地区へ。

関宿01


この天気で、平日の午前中、観光客は私だけある。

関宿02


雪の中、傘もささず撮影をして町並みを往復すること1時間半、全身が濡れさすが寒くなりこれ以上は無理と、道の宿に止めていた車に戻った。
(関宿の他の写真はまた後日アップします。)
まだ昼前、次は何処へ行こう?

道の宿の隣はJR関駅。
駅のホームの表示には「かめやま」や「かぶと」という駅名が、懐かしい。

関宿


すっかり忘れていた。
そうか隣の駅だったのか。
私は「かぶと」に行くことにした。
関から約6km。
走ること10分弱、山間の駅に到着。
この駅に来るのは40年ぶりである。
小さな集落の小高い丘の上にポツンと無人の駅舎がある。
「加太驛」と駅舎に不釣り合いな立派な駅名板が掲げてある。

加太駅


Wikiによると関西本線で唯一の無人駅であり、利用客も1日60人程度で関西本線で最少の利用者数である。
切符売り場があったであろう場所はシャッターが降り、待合室もガランとしている。
ただ、定期的に掃除がされているのかゴミは落ちていない。
遠くの名阪国道を走る車の音が聞こえてくるだけの静かな駅である。

加太駅待合室


40年前、関駅とは比べものにならないほど、多くの乗降客があった。
もちろん有人駅であり、駅前では雑貨屋や食堂も営業していた記憶がある。
私が初めてこの駅に降りたのは中学1年生、1973年5月だった。
カメラを持った多くの大人達に混じって撮ったのは蒸気機関車(SL)。
ここ関西本線は、当時、関西で一番多くSLを走らせていた路線で、ここを中心に草津線、信楽線、参宮線など多くのSLファンが押しかけていた。
高度成長に伴い、国鉄ではSLが淘汰され次第にSLが走る路線が減っていき、国内は空前のSLブームとなっていた。
ここ加太駅も、SLの撮影名所として全国に知られていた駅である。

SL01


写真は初めて撮ったSLである。
カメラはNikomatFTn、レンズは50mm。
とんでもなく斜めに傾いた写真である・・・ハッキリ言って「下手」
初めて一眼レフを持ち、目の前を鉄の塊が走ってきたら、こんなものだろう、ブレていないだけまし。
SLの右手に駅名表示板があり「かぶと」と読める。

加太駅から柘植(つげ)駅方面に線路を歩いて約2kmぐらいのところに大きくカーブした築堤がありトンネルに入る直前の場所、トンネルの両脇で築堤を見下ろす場所が絶好の撮影ポイントであった。
加太駅から柘植駅(奈良方面)の間は最大勾配25パーミルの上りとなる難所である。
通称「加太越え」。
ここを一番後ろに補機をつけD51が重連で登ってくる貨物列車がハイライトであった。
写真は7月にその場所で撮った写真である。

SL02


一番後ろに補機の機関車が写っているのがわかる。
この頃になるとSLを撮るのも慣れて、これは135mmで撮っている。


1973年10月のダイヤ改正で、このエリアのSLは廃止になった。
廃止までのわずか数ヶ月の間に小遣いをためてSLを撮りに行き、何度か加太駅に降りた。それ以降はSLが走っているのは山陰線の島根以西とか九州、東北、北海道など中学生が簡単にいける土地ではなかったので次第に鉄道写真から離れ、風景やスナップ撮影に方向が変わった。

加太駅待合室


それから40年。
まさか、この駅に再び来るとは思わなかった。
ホームはディーゼルカーは止まる位置だけ高くなっており、それ以外は昔のまま低いホームである。
ホームをまたぐ跨線橋からホームを見下ろしていると、1時間に1本だけのディーゼルカーがやってきた。
しばらく止まっていたが、一人の乗降客もなく亀山方面に走り去っていった。
ちょっとタイムスリップした1日だった。

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