母と深夜特急2006年10月16日 17時44分17秒

義父の葬儀の後始末で妻が福岡に残っているので、昨日から私の母が孫(娘)のためにゴハンや弁当を作るという大義名分でウチに来てくれています。
ありがたいことです。

昨晩、ゴハンの後、話をしていたら一冊の文庫本を出してきました。
「お兄ちゃん(長男なのでこう呼ばれる)、今、沢木さんの深夜特急を読んでいるの。なかなか本屋に揃っていなくて探したのよ。」と深夜特急の文庫の第5巻を見せました。

「しんやとっきゅう~ぅ!? おふくろが? そんな言ってくれたらハードカバーから文庫、全集までウチに揃っているから貸してあげたのに。」
「あら、そうなの。でもバスで乗って旅行なんてすごいわね。マカオのギャンブル、ペナンの売春宿やインドの施設の話が印象に残ったのよ。」
ちゃんとフツーの反応しているやん。
「ふ~ん、ちゃんとわかっているんだ。しかし、おふくろは、いままで沢木耕太郎の本なんて読んだことなかっただろう。」
「ほらワールドカップの時、新聞に観戦記書いてたでしょう。それとNHKの衛星放送で深夜ブックレビューがあって沢木さん自身が出ていたし。」
「なるほど、おふくろらしい。今、どこ読んでいるの?」
「トルコ編。」
「ああ、使者としてゲンチャイに会いに行くところだね。」
「そうそう、よく知っているわね。」
「何度読んでいるか(苦笑)、海外に行きたくなった? 一度連れていってやろうか?」

母は、一度も海外に行ったことがありません。
「うん、行ってみたい。」
昭和一桁の73歳。
病気一つせず元気に一人暮らし、いつまでも好奇心の衰えない母にちょっと感心。
息子がこれだけ海外に行っているのに、今まで海外旅行なんて何も関心を持たなかった母に「海外に行きたい」と思わせる「深夜特急」はたいしたものだ。

一度連れていってあげましょうか。