文豪は何を好んで食べていたのか「文人悪食」2006年02月15日 21時07分30秒

文人暴食

本の話は久しぶりです。
この前、いつ書いたかと思い、遡ると11月28日に「わかぎえふ」の著書を紹介して以来なので2ヶ月以上あきました。
たしかに年末年始と印象に残る本を読まなかったのも事実です。
一冊だけ「シャリマール」という良い本を読んだのですが、絶版なのであえて紹介しませんでした。

今日はひさびさに一冊紹介します。
嵐山光三郎著「文人悪食」(新潮文庫)。

夏目漱石、森鴎外から川端康成、林芙美子、太宰治そして三島由紀夫まで37人の「文豪」とよばれる人達の「食」を通じた生き方を綴っています。

夏目漱石はロンドン留学でノイローゼになったが、帰国後は洋食を好んだという意外なエピソード「ビスケット先生」。
森鴎外は、漱石と同時期ドイツ留学をしていたが日本食にこだわり、最も好きだったのが「饅頭茶漬」。
泉鏡花は、病的なまでの潔癖性で、大根おろしさえ煮てからしか食べなかったという「ほおづき」。
正岡子規の死と向き合いながら食べ続ける壮絶な「自己を攻撃する食欲」。

どのエピソードを読んでも「むぅ!」と唸らせる生き方です。
嵐山光三郎の文体は癖があるのですが、私は好きなので結構読んでいます。
今回は、文人の著書を丁寧に読んで一人ひとりのエピソードを「食」を通じて掘り起こしている好著です。

続編の「文人暴食」も買いに行かなければ。