「たぬき」と「きつね」の化かしあい2006年01月11日 20時52分43秒

冷やしタヌキ

先日、京都で昼食を食べていたら、となりに座っていた老夫婦と店員の会話が聞こえてきた。荷物などをみると観光客でした。
客「このうどん注文したのと違うのですが?」
店員「もしかしはったらお客さん東京の方ですか?・・・京都では『たぬき』はこうですねや。何でしたらお取替えしましょうか?」
客「横浜から来たんです。そうなんですか?京都で『たぬき』はこうなんですか。」と感心されていた。
私は「なるほど!」と「たぬきウドン」を食べながら一人うなずいていた。

「たぬきウドン・ソバ」は私の知っている限り関東、京都、大阪では形態が異なっています。(他も違うかもしれませんが、他で食べたこと無いもので。)
関東では「たぬき」は「タネ抜き」・・・つまり天麩羅の種の無いもの「天かす」をウドン・ソバに入れたモノを「たぬき」と呼んでいます。
関東の方「そんなの当たり前!」と思っているでしょう。
わたしも「冷やしたぬきソバ」なんて好きですよ・・・でも関西では無いメニューです。おのずと「たぬき」の意味が変わってきます。



次に大阪になりますと「たぬき」はソバのみです。
ソバの上に甘く煮たお揚げさんをのせたものです。
「それ、『きつね』ちゃうの?」と思われるかたもいるでしょう。
そう、大阪には名物「きつねウドン」が存在していますが、「きつねソバ」はありません。
「ウドン」が「ソバ」に変わると、「きつねウドン」から「たぬきソバ」になります。
もちろん「たぬきウドン」もありません。
台が変わるだけで「きつね」から「たぬき」になってしまいます。
某カップ麺メーカーの「赤いきつね(ウドン)」と「緑のたぬき(ソバ)」という商品のコンセプトは理解しやすいですね。

そして京都。
京都では「たぬき」は、おろしショウガと青葱と味をつけていない刻み揚げをのせて上から出汁を片栗で溶いてトロミをつけた餡をかけたものです。
つまり「あんかけ」です。
もちろん「ウドン」も「ソバ」も存在します。

これ冬場身体が暖まって美味しいんですよ。
大阪では「あんかけウドン・ソバ」としてメニューに書かれています。

最初の話に戻りますが、もうお解りいただけたと思いますが、 老夫婦は「天かす」ののったウドンが出てくると思っていたら、「あんかけ」が出てきたので注文が違っていると思ったのです。
異文化ですねぇ。

「たぬき」はあちこちで「化けて」いますが、じゃぁ「きつねうどん」は不動なのかといいますと・・・京都市の北にある私の好きな店、龍安寺商店街にある「笑福亭」では「きつね」を注文すると刻み揚げと青葱がのった「きつねウドン」が出てきます。
ちゃんと「きつね」も化けるんですよ。